メール文面
旅研OB会、総会のご案内をいただき、ありがとうございます。
旅研では名ばかりの一期生、山口と申します。渡辺さんが元気なうちに、OB会にも一度は出るべきでした。
悲報にせっし、後悔しています。
西川さんには、今年は9日・10日と静岡で予定があるが、OB会には何とか出させていただきたいと、話していました。そのつもりで静岡を調節してもらい、9日の9時前には京都に行けそうでしたが、今度は行楽と重なって京都に宿が取れません。重ね重ね残念ですが、皆様によろしくお伝え下さい。
来年は年度始めから予定に入れておきたいと思います。
私は今、完全に目が見えませんが、山登りに取り組み始めています。これも若いときに育んだ何かが、そうさせてくれるのかも知れません。 山口 平八
☆★思い出★☆ 山口 平八
学生時代の思い出をたどれば、初代旅研OB会名誉会長の渡辺さんと過ごした日々が、大きなウエートをしめ、なつかしく浮かんできます。
あれは、1965年の初夏、龍大に旅研を発足させる前のことでした。
それまで所属していた 学術部の合宿場所を探しに、渡辺さんと私は関ヶ原の方に出かけました。 何という村の何寺だったか、忘れましたが、高速バスで関ヶ原インターに下りた私たちは、田舎の路線バスに乗り換えて、深い山里に入りました。目的の寺に着くと、住職はいず、地区の総代がそこを監理しているとのこと。
ところが、野良仕事に出たのか、その人もいません。二人は裏に回って、鍵のかかった寺に窓から入りました。そして、間取りなどを調べて出てくると、目の前に村の人がいたのです。平謝りに謝り、ばつの悪さを隠すために、私たちは来たバスに、行き先も確かめないで飛び乗りました。
山の奥深く、入り込んでいくバスでした。終点からは、交通機関がなく、居合わせた車掌と運転手に聞くと、番近い駅で、山の向こうの琵琶湖畔の駅、虎姫だということでした。二人は道なき道を山越えし、名も知らない夕陽の山里を、日の暮れないうちにと、足を運びました。鮮やかな赤のアザミの花を胸にして歩いたことを覚えています。虎姫駅についたときは、もうすっかり暗くなっていました。
この下見は、渡辺さんと私が望んで出かけたわけではありません。というのは、私たちは当時所属していた学術部の、研究のあり方に、大きな不満を持っていたのです。
それにばつの悪い出来事が重なったことで、二人は「何で俺たちが、こんないやなことをしなければいけないんだ」と、愚痴を言い合っていました。すぐに京都に帰るのも気がすすまず 、福井行きの鈍行列車に乗り込みました。二人の小遣いを見ると、福井に行って、換えるお金で精一杯だったからです。しかし、福井に着いたとき、京都に帰らず、片道切符で、 富山まで買っていました。夜行で富山に着き、公園のベンチで目を覚ますと、朝日の中で白いカモメが、私たちを取り巻いていました。 目をこすりこすり見ると、白い制服を着た女子高校生たちでした。
帰るに帰れず、腹が減っても飯が食えず、街をぶらぶらしていると、西本願寺系のお寺がありました。「事情を話して、お金を借りようか」と、せっぱ詰まった話しをしていると、二人の鞄の中から、まだいくらかのお金が出てきました。ご飯は食べられないが、どうやら京都までの切符は買えそう。駅に行き、今度は高山線を回って帰りました。
この旅の中で、私たちは、体をとおして体験しながら、人々の暮らしやその地域の成り立ちを追求する学術部をつくろうと、旅行研究会を立ち上げる構想をねりました。そして、夏休みには、渡辺さんと、東北・北海道20日間の旅をしました。津軽で町民運動会に参加しながら、その土地の民話をきいたこと、白老でアイヌの歴史を調べたこと、みんな思い出です。網走や摩周湖の観光も素晴らしかったです。当時のお金で、8000円の周遊券の旅は、全て鈍行。駅弁を買うのも節約して、列車が止まると、駅のうどんをすすりに走り、またその汽車にのるといった旅でした。
その秋以降、同学術部にいた強力な西川さんも仲間に加わり、旅行研究会を発足させました。66年度には、よき後輩たちも得、みんなの力で、初の鹿島キャンプが実現したように思います。
それ以降、私は急激に視力を落として退きました。その後、京都府の北部で学校関係に勤めていましたが、今は埼玉県で鍼灸の治療院を開いています。渡辺さんが亡くなる少し前から、また旅がしたくなり、白杖を持って山歩きを始めています。いつか、どこかでお会いしたら、声をかけて下さい。

今回の総会の案内送付に対し、応えていただきました。
事務局あてに送っていただいたメールの転載を許諾いただきました。あわせて、渡辺さんとの秘話も、文章にしていただきました。
山口先輩は、目が不自由だそうですが、文章については、送られてきたものを、読み上げたり、書いたものを読み上げたりするソフトがあるそうです。目の見えない方でも、メールのやりとりはできるとのことです。
ありがとうございました。



コメント